築200年のかやぶきの家の古材を生かした家族の時を紡ぐ家

建築物データ

所在地 新潟県上越市清里区
建築用途(種別) 戸建て住宅[新築]
延床面積 291.4㎡
木材データ 木材使用量75㎥/480㎡
コンペ応募年度 2020年

応募者データ

名称
片建設株式会社[設計・施工]
住所
新潟県上越市大字岡原408番地
電話
025-525-9016
FAX
025-525-4188
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「森や木」への想い

施主様がかつて住んでいたのは、江戸時代後期に建てられ、改修を繰り返して維持されてきたかやぶき屋根の家でした。工事を依頼された際、「なるべく目に入る場所に古い家の材料を使ってほしい」と強いご希望がありました。理由を問えば「親族が集まった時に古い家の材を見ながら昔の家を偲びたい」とのこと。親族を見守ってきた木が再び新しい家の一部となり、行く末を見守り続けるのは、木だからこそできる、木の魅力の一つだと感じました。

「地域」への想い

こちらのお宅は、春夏は青々とした田畑が広がり、黄金の秋を経て冬は一面の銀世界となる田園地帯にあります。ご家族はもともと、代々農家を生業としており、広い敷地内に7戸前の蔵が建てられていたといいます。そんな田園風景によく似合う和風の外観と、新潟の気候に調和した長持ちする天然素材の家。スクラップアンドビルドが当たり前となっている現代の家にはない、新潟の暮らしや日本人の心情に合った風情の家になりました。

「建築」への想い

「古い家の木材を新しい家に再利用する」ということは、家族の思い出をつなぐだけでなく、新しい材料では表現できない風合いとなり、魅力になります。例えばこのお宅では、古い家の木材を、差し鴨居や腰板、書院の材、地袋の鏡板、敷居等に、またかやぶき屋根に使われていた煤竹を、建具の格子や腰板の飾り等に再利用しました。100年の木には100年の顔があり、200年の木には200年の風格が漂います。熟練大工がにらめっこしながら使う場所を決めるのです。