築53年の空き家をリノベーションした木の温もりを感じる多目的スペース

建築物データ

所在地 新潟市中央区
建築用途(種別) 住宅兼店舗[改修]
延床面積 82㎡
木材データ 木材使用量145㎥
コンペ応募年度 2019年

応募者データ

名称
株式会社T-Base-Life
住所
新潟市中央区天明町7-10
電話
070-4326-0764
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「森や木」への想い

経済的理由ゆえ、専門家から建て替えを進言された築53年の空き家には、職人のこだわりと技が込められた、繊細な木材加工の建具や階段、希少価値のある高品質な素材(壁材・床材)で構成された、豊かな室内空間がありました。
私たちは、先人たちが残した尊い空間資産を活かすべく、建物の解体ではなくリノベーションを選択し、既存の木材資源を最大限に活用することで、歴史の継承が体感できる持続可能な空間づくりを目指しました。

「地域」への想い

長い期間、放置されていた空き家の最後の住人は、ご高齢で単身の女性でした。この空間への強い愛着を抱いていたご婦人は、子どもたちと同居することなく、生涯この場所で過ごし、天寿を全うされました。
かつて、ものづくりが盛んであった天明町にあるこの建物は、仕立屋を営んでいて、地域の人々や職人が集う活気に満ちた場所でした。私たちは、地域の歴史を尊重すべく、当時の記憶が想起されるよう空間資源の温存に努めました。

「建築」への想い

劣化した基礎や、増改築によって進行した地盤沈下が原因で、前方にむけて床が7センチ傾斜し、窓の開閉ができない状態でした。こうした事態に対し、土間コンで基礎を強化し、内装材に構造用合板を用いて構造の強化を図り、2階に設置した本棚も構造材として活用しました。
生活の記憶が充満した室内は、木材の構造体を露出させ、職人の技巧に満ちた建具の再利用と、研磨した素材の家具としての再生を通じ、生活空間の再現性にこだわりました。