中規模木造倉庫.㈱OS

建築物データ

所在地 新潟県燕市
建築用途(種別) 倉庫兼事務所
延床面積 515.60㎡
木材データ 木材使用量64.8㎥
コンペ応募年度 2021年

応募者データ

名称
株式会社サトウ工務店[設計・施工]
住所
新潟県三条市高屋敷65-1
電話
0256-46-2176
FAX
0256-46-2656
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「森や木」への想い

建築地(燕市)の工業団地内にある倉庫や社屋(特に500㎡を超えるいわゆる中規模建築物)は、ほぼすべてが鉄骨造である。
カーボンニュートラル、SDGsが求められる現代においては、非住宅や中規模といった建築物も木造化を推進する事に大きな意味があると感じている。
また、単に木材を利用するという事だけでなく、出来れば国産、可能なら県産の木材利用を同時に検討し、持続可能な未来への貢献をしたい。
設計者である私と建築主とがこのような共通の想いを持つ事で、プロジェクトが実現した。

「地域」への想い

周辺の建物は、ほぼ全て構造は鉄骨造、外壁は金属仕上、片流れのBOX形状である。
「倉庫」や「工場」といった用途を考慮すると、それが最も合理的な答えかもしれない。
しかし、そこには「物」だけでなく「人」がいる。居住はしてはいないが、朝から夕までその建物内外で暮している。
「物」から「人」へスポットを当ててみると、人間との親和性が高い木造化、木質化となるのは必然と思われる。
この物件では、内部は木構造を現しとし、外観と屋内の動線上には新潟県産杉の雨板が張ってある。外観デザインもあえて切妻屋根形状としている。ここで働く従業員はもちろん、出入りする関連会社、前の通りを通行する近隣の労働者にこの木を使った優しい建物が目に入り、より心地よく、より生産性の高い労働環境となる事を期待している。

「建築」への想い

大工職人3名の小さな地域工務店である弊社では、500㎡超えの中規模建築物を手掛けるには、圧倒的に人手が不足している。
しかも職人は高齢化している。中規模の建築物を木造で施工するには、クリアしなければならない重要な問題である。
この人手不足、高齢化は、弊社だけでなく業界全体が抱えている大きな問題である。
この物件では『大型パネル』を採用する事とした。軸組、間柱、耐力面材、サッシ、防水紙などを工場でパネル化し、現場ではクレーンで組立てるのである。高性能化と共に重量化したサッシや耐力面材の取付といった現場の過酷な重労働が軽減ざれる。
この方法により現場での人工を50人ほど削減する事ができ、上棟から3日で外皮の防水まで完了した。
この種の建築物の木造化を推し進めるべき.といった思想だけでなく、地域工務店が施工する際の問題解決方法がある事も同時にアピールしていきたい物件である。