「希望の林業」に向かって。地場産材が織りなす製材加工工場

建築物データ

所在地 新潟県村上市
建築用途(種別) 工場(自動車修理工場除く)[新築]
延床面積 棟1:359.39㎡ 棟2:492.75㎡
木材データ 木材使用量151.8㎥
コンペ応募年度 2022年

応募者データ

名称
設計室 小嶋屋[設計]
住所
新潟県新潟市東区物見山1丁目14番1号
電話
025-279-5038
FAX
025-279-5039

「森や木」への想い

・森林を守る従事者に力を与えてくれるのは「国産材の普及促進」です。製品の種類が多く、十分な乾燥材で安定供給されるなら、輸入材より高くても、国産材を使い始めると思います。ただ、木材に携わるひとには木材の産地・流通過程・木材の質、機能などの知性が必要になると思います。
・森林資源とはなんでしょう?森林以外の水・空気・動植物の生態系もあります。共生するひとたちが豊かな恵みを得るには知性と感性が必要と思います。
・「食育」ならぬ「木育」。まずは、森林関係者は知見を持って「木育」の最前線に立ち、自然界がどのような循環を繰り返しているか体感すべく実践が必要だと思います。
・林業自体の多様化が望まれますが、木材加工に新技術を。様々な樹種の様々な利用方法の提案(樹皮の防水機能や枝の魚礁など)が必要と考えます。

「地域」への想い

・約4万人の林業従事者の過酷な労働への安全対応が急務。労災が全産業平均に比べて15倍も高く、また後継者不足による高齢労働者。公共工事での入札制限にも影響する労災適用を嫌がる傾向にあるため、事故率はさらに高いようです。この現状を希望の林業に向けて、日本の森林を守っていくことをひとりひとりが大事に考えていくべきだと思います。
・希望の林業に向けて行政がまずやるべきことは、人材の育成・情報提供・関係各分野の人々を結びつける政策が必要だと思います。

「建築」への想い

・森林業施設を設計する機会にめぐりあえたことで、様々なことを感じ、悩み続けていますが、その施設の「構造体は木造」という命題についての試行錯誤が山のようにあり、仕上材などで隠すことができない構造形態がすべてを決定することもあります。
・建築の形態を問う前に、森林に囲まれた地に住むひとたちの施設であり、木材利用の技能を次世代に継承する施設でありたい。未来も、ひとのためにはひとが必要です。それを世の中に問いかけ続けたい。「建物」という力を借りて。
・「ひと」と「社会」と「建物」との関係というようなものをどのように考え、そしてどういう手法を使って造り上げるべきなのか。その結果が現れるまでには、森林業と同じく長い時間を要することかもしれないと感じています。
・森林業のこの施設は流通材と流通金物を基本とし、あくまで標準的な構造解析の建物。奇をてらう建物は不要であり、ましてや作品などと自負すべき建物ではありません。